
SAP関係者「SAP技術者不足って2025年までに起こるって言われていたけど、今どうなってるのか知りたい。ついでに、SAP技術者不足がSAPを仕事で使っている自分にどんな影響を与えるのか知りたい。
この疑問に答えていきます。
- SAP技術者不足に今はならない3つの理由
- SAP技術者不足がSAP関係者に及ぼす影響
本記事の信頼性
この記事を書いている人(=SAPFI)は
- 外資系コンサルティングファームで、SAPコンサルタント歴2年
- 外資系コンサルティングファームで、SAP技術者歴2年
- 経験プロジェクト数5つ
- 転職経験2回
この記事の目次は以下の通りです。
1. SAP技術者不足に今はならない3つの理由
SAP技術者不足に今はならない3つの理由は以下の通りです。
- SAPサポート切れが2025年から最長2030年まで延期されたから
- SAPユーザの企業はSAPを使い続けるか時間をかけて判断できるから
- SAPを使うITベンダーは時間をかけて技術者の育成に取り組めるから
以下それぞれ解説していきます。
1-1. SAP技術者不足に今はならない理由①: SAPサポート切れが2025年から最長2030年まで延期されたから
SAP技術者不足の原因であった、「2025年にECC 6.0バージョン以前のSAPに対してのサポートを終了する予定」(いわゆる「2025年問題」)が延期されて最長2030年までサポートを受けられるようになりました。
なぜなら、SAP社が2020年2月に公式サイトでSAPのサポート切れを2025年から2027年末まで従来と同じ金額でサポート、以降2030年までは「S4HANAへ移行中」であれば追加料金を支払うことでサポートを延期できると発表したからです。
SAP社公式のニュースレター
WALLDORF — SAP SE (NYSE: SAP) today announced a maintenance commitment for SAP S/4HANA until the end of 2040. At the same time, SAP will provide mainstream maintenance for core applications of SAP Business Suite 7 software* until the end of 2027 followed by optional extended maintenance until the end of 2030.
グーグル翻訳
WALLDORF — SAP SE(NYSE:SAP)は本日、2040年末までSAP S / 4HANAのメンテナンス契約を発表しました。同時に、SAPは2027年末までSAP Business Suite 7ソフトウェア*のコアアプリケーションにメインストリームメンテナンスを提供します その後、2030年の終わりまでオプションの拡張メンテナンスが続きます。
引用元↓
具体的な2027年~2030年までの追加料金は、以下の海外サイト記事によると既存のサポート費用22%にさらに追加で2%とのことです。
海外サイト記事
A commitment for maintenance for S/4HANA through to 2040
An extension of the '2025' deadline for maintenance cut off for SAP ERP 6.0, SAP Customer Relationship Management 7.0, SAP Supply Chain Management 7.0, and SAP Supplier Relationship Management 7.0 applications and SAP Business Suite powered by SAP HANA
Beyond 2027, customers in transition will have the option to purchase extended maintenance through to the end of 2030 at a premium of two percent above existing maintenance prices of 22%.
グーグル翻訳
2040年までのS / 4HANAのメンテナンスへの取り組み
SAP ERP 6.0、SAPカスタマーリレーションシップマネジメント7.0、SAPサプライチェーンマネジメント7.0、SAPサプライヤーリレーションシップマネジメント7.0アプリケーション、およびSAP HANAを搭載したSAP Business Suiteのメンテナンスカットオフの「2025」期限の延長
2027年以降、移行中のお客様は、2030年の終わりまでの既存の保守価格である22%を2%上回るプレミアムで、拡張保守を購入することができます。
引用元↓
以下の情報はロジックの説明はわかりやすいですが、2025年問題に関する記述が最新ではないのでご注意ください。
1-2. SAP技術者不足に今はならない理由②: SAPユーザの企業はSAPを使い続けるか時間をかけて判断できるから
SAP技術者不足に今はならない理由として、SAPユーザの企業は時間をかけてSAPを使い続けるか否かを判断できることがあります。
なぜなら、SAPのサポート切れデッドラインの2030年まで最長10年間の猶予があるからです。
具体的には、現行の自社の基幹システムの機能を削って効率化したSAP S4HANAに合わせて業務を行うのか、SAP以外のシステムを使ってアドオン開発を行うのか検討することが出来ます。
1-3. SAP技術者不足に今はならない理由③: SAPを使うITベンダーは時間をかけて技術者の育成に取り組めるから
SAP技術者不足に今はならない理由として、SAPを使うITベンダーが時間をかけてSAP S4/HANAの技術者の育成に取り組むことが出来ることがあります。
なぜなら、サポート切れのデッドラインの2030年まで最長10年間の猶予があるからです。
具体的には、ITベンダーがSAPジャパンが公式に発表した「パートナーサクセスプログラム」を活用するなどして、サポート切れまでにSAPコンサル人材を育てることも可能です。
SAPジャパンのパートナーサクセスプログラム
引用元↓
経験を蓄積した技術者を増やさなければ逆効果なので非推奨ですが、以下の様にフリーランスのSAP技術者をプロジェクトに取り込む活動もあります。
SAPの人材検索サービス「SAP Fieldglass」
引用元↓
2. SAP技術者不足がSAP関係者に及ぼす影響
SAP技術者不足が起こると考えられる2030年までに、SAP関係者に及ぼす影響を以下の二つの観点から解説します。
- SAP技術者に及ぼす影響
- SAPコンサルに及ぼす影響
2-1. SAP技術者不足がSAP技術者に及ぼす影響
SAP技術者不足がSAP技術者に及ぼす影響は以下の通りです。
- 先行者優位
- 転職して年収を数百万円上げることが可能になる
なぜなら、SAPジャパンも協力してSAP技術者を増やそうとしている現時点で、SAPを使った仕事をしていることが大きなアドバンテージになるからです。
具体的には、これから基本的なトランザクションコードやSAPテーブルを覚える人と、すでにそれらを使って仕事をしているSAP技術者では大きな差があります。
また市場が拡大することでSAPを使った転職がしやすくなり、同業種の転職でも年収が数百万上がることも十分あり得ます。
0円無料で利用できるSAP技術者向けの転職エージェントをランキング形式でまとめた記事は以下↓
2-2. SAP技術者不足がSAPコンサルに及ぼす影響
SAP技術者不足がSAPコンサルに及ぼす影響は以下の通りです。
- 同業他社に転職して年収を数百万円上げることが可能になる
なぜなら、SAPジャパンも協力してSAP技術者を増やそうとしていることで、SAPを使った仕事の需要がさらに大きくなることが見込まれるからです。
具体的には、現時点で日本で2000社がSAP ECCもしくはR/3と言った比較的古いSAPを用いているため、各社のSAPバージョンアップのプロジェクトの人数分、SAPコンサルの需要が増えることが見込まれます。
0円無料で利用できるSAPコンサル向けの転職エージェントをランキング形式でまとめた記事は以下↓
3. SAP技術者不足のまとめ
本記事のまとめは以下の通りです。
- 旧SAPのサポート切れが2025年から2030年まで延期されたため、SAP技術者不足は今すぐには起きない
- 現行の比較的古いSAPを用いている2000社以上の企業でのSAPのバージョンアッププロジェクトの影響で、SAP技術者とSAPコンサルの需要が増えることが見込まれる
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